
こんにちは、Uzumaki Houseの小島です。
先日、マーケティング会社のディレクターの方とお話しする機会があり、その中で「ホームページ制作会社とのクリエイティブプロセスの違い」について改めて考えるきっかけを得ました。
私自身は、マーケティング会社にも制作会社にも所属した経験はありません。ただ、これまで両者に関わる方々と交流する中で見えてきた“視点の違い”があります。今回はその気づきを整理し、まとめてみました。
もし内容に相違点がありましたらぜひ教えていただければ幸いです。また、私自身の実感としても、これから制作を依頼される方に少しでも参考になれば嬉しく思います。
「ホームページを新しく作りたい」「リニューアルを検討している」と思ったとき、多くの方がまず迷うのは依頼先です。マーケティング会社にお願いすべきか、それともホームページ制作会社に依頼すべきか。どちらにも“クリエイティブディレクター”という司令塔がおり、プロジェクトをまとめていきます。
両者に共通しているのは「クライアントの希望を形にする」というミッションですが、その進め方や重視するポイントには少し違いがあります。本記事では、その違いを整理しつつ、これからホームページ制作を検討されている方に向けて「望む成果につながる依頼先」の違いをご紹介します。
クリエイティブディレクターとは?
クリエイティブディレクター(ディレクター)は、デザインやコピー、構成、システム開発などを横断的に指揮する存在です。ただし、成果物ができるまでのプロセスは、会社によって異なります。マーケティング会社では「広告などを中心として成果を最大化する責任者」、Web制作会社では「制作全体の整合性を担保する責任者」といった傾向があります。
また、本記事のタイトルから成果物として「ホームページ」を比較するべきですが、マーケティング会社ではホームページ制作を行なっていないところもございます。そこで、両タイプの会社がサービスとして儲けている可能性の高く、プロセスがシンプルな「バナー」を比較させて考えてみました。
マーケティング会社のディレクター目線
目的重視(売上・集客・KPI達成)
主に広告やランディングページ、バナーなどが中心。「成果を出すため」に設計します。
判断軸はデータや顧客行動
CTR(クリック率)、CVR(成約率)、CPA(獲得単価)などの数値をもとに、改善を繰り返します。
コピーやデザインの役割
「ターゲットの心を動かせるか」「購買意欲を喚起できるか」が最優先です。
◾️バナーやランディングページ制作の例
「このバナーはCTRが低いから、訴求軸を“価格”から“安心感”に変えてテストしましょう」「広告などで望む数値が達成できないと判断した時は、訴求をこのように変更する予定」という具体的な改善提案。成果に対しての施策が成功しているのか、失敗かもしれないのか?具体的な数値やタイミングを想定し、ジャッジできる軸を作る。
Web制作会社のディレクターの目線
プロジェクト全体の進行重視
デザインだけでなく、UI/UX、システム実装や運用まで含めた“全体”の整合性を見ます。
判断軸はユーザー体験+要件定義
ユーザビリティ、情報設計、SEO要件、ブランドトーンなどを調整していきます。
コピーやデザインの役割
「サイト全体で一貫したトーンを保てるか」「機能と見た目をどう両立するか」に加え、ペルソナの心理や情緒に響く表現を織り込めるかも重要な視点です。
◾️バナーやランディングページ制作の例
例えば「このボタンはブランドカラーに合わせたいが、コントラストが弱くて押しづらい。アクセシビリティを優先して別色を検討しましょう」といった技術的配慮に加え、「こちらのキャッチコピーやビジュアルの方がペルソナに響きやすいので調整しましょう」といった感情や情緒に訴える提案も得意とします。
例:広告バナー制作におけるプロセスの違い
同じ「広告バナーを作る」仕事でも、マーケティング会社とWeb制作会社ではアプローチが異なります。マーケティング会社でも、ホームページ制作会社でもこれからお伝えする内容を実施されているところはあるかと思いますが、私が大きな傾向の違いとしてありそうだと考えているところであるとご理解いただけると幸いです。
マーケティング会社のディレクターの場合
- 広告の目的(例:資料請求数を増やす、CPAを下げる)を確認
- 過去の広告データやクリック率(CTR)を分析し、勝ちパターンを反映
- 訴求軸を決めて設計(「価格訴求」vs「安心感訴求」など)
- コピーとデザインを組み合わせ、成果改善を重視して提案
「このキャッチコピー(もしくは、ビジュアルなど)だとCTRが上がりにくいので、別の訴求でABテストしましょう」
Web制作会社のディレクターの場合
- ブランドトーンやサイト全体のデザインとの整合性を確認(上記「1. 広告の目的」はここでも確認の前提)
- サイト内導線の中でバナーの役割を定義
- 視認性・配置・レスポンシブ対応を重視してデザインを調整
- サイト全体や、ペルソナに響く表現方法を優先
「トップページ全体のバランスを考えると、この色味を変えた方が自然です」という全体の整合性や「このコピーなら不安を抱えているターゲットに安心感を与えられるので、響きやすいのでは?」といった心理的なアプローチも行われます。
両者の違いを整理(比較表)
観点 | マーケティング会社 | ホームページ制作会社 |
主なゴール | 売上・集客・KPI改善 | サイト品質・ユーザビリティ |
判断軸 | データや顧客行動(CTR, CVR, CPA) | ユーザー体験・SEO要件・ブランドトーン |
担当範囲 | 広告運用、SNS運用、ランディングページ制作など | ワイヤー、UI/UX、実装全般 など |
コピー/デザインの役割 | 購買意欲を喚起できるか | 一貫性・機能性+心理的訴求 |
違いのまとめ
- マーケティング寄り → 数字改善・成果志向(広告運用視点)
- Webディレクター寄り → ユーザー体験・全体調整+心理的訴求(制作進行視点)
理想は「マーケティングの視点(数値)」と「ディレクションの視点(全体設計+心理的表現)」の両方を持つことです。
依頼先の選び方|ホームページ制作を成功させるには?
- 売上や集客を最優先したい方
マーケティング会社が向いています。広告やSNS、SEOを駆使して成果を数値で見せてくれるからです。 - ブランドやサービスの世界観をしっかり形にしたい方
ホームページ制作会社がおすすめ。完成度の高いデザインと、ペルソナに響く表現を取り入れたサイト、使いやすさやメンテナンスのしやすさ、今後の運用も考慮して構築してくれます。
ただし、どちらか一方だけでは不十分なケースも多いのが実情です。
成果を出すホームページ制作には、「数字を追うマーケティング視点」と「全体を整えつつ心理に響かせる制作視点」の両方が欠かせません。
マーケティング会社として、過去のデータを蓄積している会社はそれだけ結果を出せる可能性は高いでしょう。Uzumaki Houseでは、ウェブ広告・SEO対策・SNS運用をはじめ、ホームページの利便性や運用、ランディングコストまでを見据え、両方の視点を統合した提案を行っています。お気軽にお問合せください。