リスティング広告の運用の基本となる、広告ランクと品質スコアが広告のパフォーマンスにどのように影響を与えるのかをまとめました。

広告ランクとは

広告の掲載順位を決める指標です。広告ランクが高ければ高いほど、広告は検索結果の上位に表示され、広告ランクが低いと下位に表示される可能性が高くなります。

品質スコアとは

広告の品質を1から10の範囲で評価したもの。キーワードごとに設定されています。主に以下の3つの要素に基づいて算出されます。

1. 予測クリック率(CTR)

クリック÷広告表示回数

・品質スコアの中で、一番重要な要素
・広告が表示されたときに、なるべく多くクリックを獲得することで、ユーザーから支持されていると判断される。
・良いCTRとは? CTRを何パーセントあげれば、良いCTRと判断されるのか。
・過去の広告クリック率に基づき、広告がクリックされる可能性の予測値。
 例:「バスケットボール」というキーワードを検索したとき、Googleが過去に蓄積したデータによって、10%のクリック率が出るだろうと予測している。その10%に比べて、自分が出している広告が、8%しかないので品質スコアが低い、15%でているので品質スコアが高くなる。という判断をする
・Googleは順位によるCTRを平準化する
 例:「バスケットボール」と検索をしたとき表示される順位によってだいたいのクリック率が計算されている。1位のCTRは大体10%、2位は8%、3位は6%など。そのため、1位のときはCTRが12%じゃないと、品質スコアが高いと判断されません。しかし、2位で10%になればCTRスコアが高いと判断されます。その中で、クオリティーが高ければたかいほど、より順位が高く、クリック単価は安くなります。
・アカウントの履歴(アカウントすべての広告とキーワードのクリック率によって算出)。

2. キーワードと広告の関連性

・広告が、ユーザーが検索した意図とどの程度一致するか。
  例:「バドミントン」というキーワードに対して「バスケットシューズ」の広告は関連性がなく、品質スコアが下がる可能性があります。
・一般的に、検索キーワードが広告文内に入っていると関連性が高いと判断されやすい。
・検索クエリ*に対する広告の関連性。
・広告が表示される地域でのアカウントの掲載結果。

*検索クエリ:ユーザーが入力したキーワード

3. ランディングページ*との関連性

・検索意図と合致しているコンテンツがあるか。
・広告をクリックしたユーザーが問題解決できる内容か、どれだけ役に立つ内容なのか。
・広告の商品やサービスに関する有用な情報があるページへリンクしているか。
・他のサイトにないオリジナルなコンテンツが提供されているか。
・操作性がフレンドリーか?
・サイト内で、キーワードを何度も使用するようなスパムはNG。

*ランディングページ:広告をクリックしたあとにユーザーが訪れるページ。

その他、品質スコアのチェック項目

ウェブサイトの透明性を確保する
・広告主の企業情報が明確にわかるサイトを作る。
・会社の業務内容をはっきりと表示する。
・広告で宣伝したサービスを確実に提供する。
 例:10%オフの広告を出す場合、ウェブサイトにもその情報を掲載する。
・商品やサービスを契約通りに提供する。
・注文が完了した商品やサービスのみ代金を請求する。
・スポンサーリンク*を他のコンテンツと明確に区別する。
・ウェブサイトの目立つ場所に料金体系や請求方法を分かりやすく表示する。
 個人情報を求める場合、個人情報保護方針やプライバシーポリシーを掲載する。
・継続課金や定期購読の契約では、料金や請求期間を明確に表示します。
・契約や購入など個人情報の取り扱いが必要な場面では、ユーザーが「契約に同意します」というチェックボックスにチェックを入れることで、同意を得ることができます。

スポンサーリンク
ブログの記事の下などに表示されるディスプレイ広告、検索エンジンの検索結果ページに表示される「スポンサー」ラベルが付いたリンクなどがあります。

顧客転換率を上げるユーザビリティ向上ポイント
ユーザーが求めているものを簡単に見つけられるようにすることが、ユーザーを顧客に変える鍵です。
・広告商品やサービスの購入・受け取り手順を短く簡単にする。
・サイト内で、ポップアップやポップアンダーなどの過度な機能を避ける。
・リンク先ページが表示されるまでの時間を短縮する。
・ウェブマスター向けガイドラインの奨励事項を確認する。

品質スコアの確認方法

Googleの仕様で、キーワードを設定した場合でも出てこない場合があります。

広告ランクと品質スコアの関係性

広告ランクは、次の計算で決められています。

広告ランク=入札単価×品質スコア
入札単価:広告主がそのキーワードに対して支払う金額。1クリック○円 など。

入札単価が同じ場合は、品質スコアが高い方が上位になる。
より上位に表示させるためには、入札単価だけでなく、品質スコアを向上させることが重要
品質スコアが高ければ、入札単価が低くても、上位の広告ランクを獲得できる可能性がる。
同時に、クリック単価も下げることができます。

例えば、あなたが競合と同じキーワードに対して広告を出稿しているとします。競合があなたよりも高い入札単価を提示していたとしても、もしあなたの広告の品質スコアが高ければ、競合を上回る広告ランクを獲得できる可能性が高まります。

広告ランク改善の対策

広告ランクを向上させるためには、品質スコアの改善が有効です。

推定クリック率を改善する

検索クエリと表示された広告の内容が一致
クリック率を高めるためには、検索クエリと表示された広告の内容が一致している必要があります。例えば「バトミントンシューズ」を探しているのに、「バスケットボール」が出てくるれば、関心がないのでクリックする確率が低くなります。推定クリック率の改善する場合は、次のような方法が考えられます。

広告のテキストとクリエイティブの改善
推定クリック率は、 簡単に言えば 「ユーザーがクリックしたいと思える広告文になっているか」 をあらわす指標ともいえます。 推定クリック率が低い場合は、ユーザーにとって魅力的ではない広告文になっている可能性があります。 広告文を魅力的にする工夫として以下のようなものが挙げられます。
例:「初回限定」 などのキーワードを組み込む
  金額や割引率など具体的な数字を入れる
  検索キーワードを見出しに設定する

広告掲載ポリシー
広告文を作成するため、広告掲載のポリシーを確認し、ガイドラインに反していないかをチェックします。

キャンペーンと広告グループを見直し広告効果を高める

Google広告では、広告グループごとの表示回数が品質スコアに影響するとされています。同じ広告文が複数のグループに分かれている場合、ひとつにまとめることで品質スコアの向上が期待できます。

広告グループ名キーワード広告文
バトミントンシューズシューズ40%off
バトミントンラケット40%off
バトミントンシャトルシャトル40%off

広告グループをまとめた例

広告グループ名キーワード広告文
バトミントンシューズ
ラケット
シャトル
40%off

ランディングページの最適化

広告から遷移するページがユーザーにとって使いやすく、関連性が高い内容であることを確保しましょう。ページ構成や設計、デザイン、キャッチコピーなども見直します。また、読み込み速度を向上させるなどの技術的な面からも改善を考えます。

データ分析と継続的改善の重要性

広告のパフォーマンスを定期的に分析し、常に最適化を行います。

入札単価の設定

広告主がどのタイミングで費用を支払うかを決めます。キャンペーン作成の[入札単価]の項目から行います。「重視している要素は何ですか?」の項目に設定した内容によって、ポートフォリオ入札単価戦略が適用されます。

ポートフォリオ入札単価戦略:設定した目標に応じて入札調整を行う機能
または、入札戦略を直接選択します(非推奨):自分で設定をする場合

費用の発生タイミング

目標コンバージョン単価
(Target CPA)
1回のコンバージョン(例:購入、サインアップ)に対して支払う最大の金額です。Google広告では、この目標を設定すると、システムが自動的に入札を調整し、目標とするコンバージョン単価に近づけるよう最適化します。

効率的にコンバージョンを獲得したい場合に有効な手法です。
目標広告費用対効果
(Target ROAS)
広告投資から得られる収益の割合を目標とする設定です。
例えば、ROASが400%の場合は広告に1円投資して4円の収益を期待します。

この目標を設定することで、Google 広告は広告の入札単価を調整し、設定されたROASに基づいた収益を最大化するように動作します。
クリック数の最大化設定した予算で多くのクリック数を獲得を目的とします。
この戦略は、ウェブサイトへの訪問者数を増やすことが目標のキャンペーンに適しています。ただし、クリック数を優先するため、コンバージョン率や費用対効果は必ずしも最大化されないことがある点に注意が必要です。入札の上限を設定すると、広告のクリック数も制限される可能性があります。
コンバージョン数の最大化設定した予算で多くのコンバージョンを獲得できるよう、入札単価が自動的に調整さます。
この戦略は、コンバージョンを最優先に考えるキャンペーンに適しています。
目標インプレッション シェアこの入札戦略は、広告が表示されるすべての機会で、広告をどの程度の割合で表示させるかを目指すものです。
例えば、特定のキーワードやキャンペーンで広告が表示される頻度を増やしたい場合に、この設定を使用します。インプレッション シェアを最大化することで、特定の市場や検索結果ページでの広告の露出を増やすことができます。
個別クリック単価制
(Manual CPC)
広告ごとに上限クリック単価を個別に設定します。
広告主が各キーワードや広告に対してクリックごとに支払う金額を手動で設定する入札方法です。この方法では、広告主がクリック単価をコントロールできるため、特定のキーワードや広告に対して予算を細かく管理できます。
費用対効果を最大化するために、広告主が入札額を定期的に見直し、調整する必要があります。

コンバージョン:ウェブサイトの成果。成果はウェブサイトの目的によって変わる。オンラインショッピングの場合は、コンバージョンは商品の購入。情報系ウェブサイトは、メールマガジンの登録など。

予算の管理(キャンペーン単位で設定)

予算:1日ごとに設定(キャンペーンで使える1日の平均額)。1日の予算に達した場合は広告の表示は抑えられる。
請求:1ヶ月単位。月間の予算に余裕がある場合、1日の予算を超えて広告が表示される日があります。

クリック数が設定より多くなる場合

1日の予算の最大2倍のクリックが発生することがあります。
(検索の変動によって予算を使い切らなかった日の不足分を、同じ請求期間内の他の日で補うため)ただし、請求期間内で1日あたりの予算に日数をかけた総額を超える請求が行われないように調整されます。

配信方法例
1日の予算の上限:¥10,000(ひと月30日間の想定)
請求料金の合計:1ヶ月¥300,000以内に収まるよう調整される
例えば、お申し込みが多い日は1日の予算の上限を超えて15,000円になる日があれば、その他の日で10,000円になるなど、ひと月¥300,000で収るように管理されています。

不正なクリックについて

不正なクリックとは、意図しないクリックや不正なソフトウェアによるクリックなど、Googleが無効と判断したクリックを指します。以下のようなケースが該当します。

  • 広告主の費用やサイト運営者の収益を意図的に増やすために手動で行われるクリック
  • 自動クリックツールやボットなどの不正なソフトウェアによるクリック
  • ダブルクリックの2回目など、広告主に価値のない余分なクリック

無効と判断されたクリックは、レポートや請求から自動的に除外され、これらに対して料金は発生しません。また、自動検出されなかった無効なクリックが後から発見された場合、該当するクリックに対してクレジットが適用されることがあります。このクレジットは「不正操作」調整額と呼ばれます。
また、広告主側からみて不正クリックだと感じたものは、Google側に申告することができます。Googleに認められれば、その請求はされません。

なお、Googleの広告プログラムは、ビジネス理念、法的考慮、文化的側面、ユーザーや広告主の利便性など、Google独自のポリシーに基づいて運営されており、広告主であるユーザーの利便性も考慮されています。

キャンペーンの入札単価調整について

入札単価調整とは、キャンペーンの入札単価を特定の条件に応じて増減させる比率のことです。
この設定はデバイス、地域、時間帯などの項目で設定できます。入札単価調整を使用することで、クリック単価が変動するものの、1日の全体予算は変わりません。

広告の承認について

Google広告に出稿する際、広告は必ずGoogleのポリシーに基づいた審査を受けます。この審査プロセスでの注意事項は次の通りです。

編集基準と表現に関するポリシー

大文字アルファベットの使用方法
不適切な方法、または本来の用途と異なる方法で使用されている大文字アルファベット。

広告文に記載された電話番号
広告文での電話番号の直接記載。

不明なビジネス
宣伝の対象となる商品、サービス、会社の名前が明記されていない広告またはリンク先

特別優待情報
価格、割引、無料オファーなどの情報を掲載する際、その詳細に1~2回のクリックでアクセスできるかどうか。

その他、適宜Googleの編集基準と表現に関するポリシーで更新されていきますので、確認してみてください。

リンク先の要件

広告やキーワード、広告の対象となるサイトに関する要件です。

リンク先の利便性
広告のリンク先やコンテンツ(ポップアップを含む)は、操作が簡単で、不正な内容が含まれていないことを確認してください。また、リンク先で自動的にダウンロードが始まったり、メールアドレスやファイルの入力を求めたりしないよう注意しましょう。

  • タイマーにより表示されるポップアップ
  • 自動的に閉じるポップアップ
  • 断続的に繰り返し表示されるポップアップ
  • 広告自体によって表示されるポップアップ
  • ダウンロードを促すポップアップ
  • ポップアンダー

正確なURLの表示
表示URLのドメインには、ユーザーが広告をクリックしたときに表示されるサイトがわかるように、リンク先ページと同じドメインを使用する必要があります。

OK例:ABC.com のクリック後、ABC.comのドメイン。
ドメインが同じであれば、別ページ( ABC.com/about/ )などでも構いません。

NG例:ABC.com のクリック後、XYZ.com

広告承認されるまで

通常、広告の審査は数時間以内に完了しますが、場合によっては24時間以上かかることもあります。

1. 広告作成時
広告やキーワードを作成・変更するとき、ガイドラインに違反している場合はシステムが自動で検出します。違反があれば、広告作成中に警告が表示され、具体的なポリシー違反が示されます。

2. 広告送信後
広告を送信後はステータスが「審査中」になり、この感は広告が表示されません。通常、2営業日以内に審査が完了しますが、サイトへのトラフィックが少ない広告は、審査に時間がかかることがあります。承認されると、広告は指定したキャンペーンや広告グループに基づいて配信が開始されます。

ただし、審査の結果、ポリシーに違反していると判断された場合、広告が不承認となることがあります。
不承認となった場合、その理由が通知されますので、指摘された部分を修正し再審査に出します。これを繰り返すことで、広告のポリシー準拠性を確保し、スムーズな配信を行うことができます。

3. 広告審査後
一度承認された広告でも、Google広告のガイドライン変更により、掲載が制限または停止されることがあります。その場合、広告のステータスが「不承認」となり、違反の可能性について通知されることがあります。
広告の審査プロセスに時間がかかることもあるため、重要なキャンペーンを実施する際は、余裕をもって広告を提出することをおすすめします。

広告が不承認になった場合の対応

通知の確認
広告が不承認になった場合は、登録しているGmailなどに不承認通知のメールが送られてきます。メールに記載されているGoogle広告のポリシー違反の詳細を確認しましょう。通知されたポリシー違反の内容に基づき、広告テキストやリンク先ページを修正する必要があります。

不承認確認後の対応
修正後は、再審査のために広告を再送信します。再審査には通常1〜2営業日がかかりますが、修正が適切であれば、広告が承認され、掲載が再開されます。

また、違反の内容が不明確な場合や、どの部分を修正すべきかわからない場合は、Google広告のサポートに問い合わせることをおすすめします。サポートチームからの指示に従って修正を行うことで、迅速に問題を解決できます。

まとめ

広告ランクと品質スコアは、リスティング広告の成功に欠かせない要素です。これらを理解し、適切に管理することで、広告のパフォーマンスを最大化し、費用対効果を高めることができます。初めてリスティング広告を運用する方も、これらの基本概念を押さえておくことで、効率的な広告運用が可能となるでしょう。